……すると、魚屋の店長と隣の肉屋のおばさんが話し込んでいるのが見えた。
「お、香澄ちゃんじゃないか!!よく来たね」
肉屋のおばさんが娘の存在に気づき、笑顔で手招きする。
「今日は朝からいいマグロが入ったんだよ!!
買ってくかいっ?」
「こっちも仕入れた上等な豚肉だよっ!!」
「じゃあ…、両方貰うね」
いつものように財布を取り出して魚屋と肉屋にお金を払う。
「ありがとう」
「良いんだよ、
いつも来てくれてんだからさっ
そう言えば…、聞いたかい?国王様の事」
魚屋のおばさんは袋を娘に渡しながら聞いた。
「え?」
当然、今先程街に来た娘は何の事を言っているのか分からなかった。
首を傾げる娘に魚屋のおばさんは周りには聞こえないくらいの小声で耳打ちする。
「……暗殺されたんだってっ、国王様」
娘は一瞬、自分の耳を疑った。
「え…」
瞬間的に、あの舞踏会で知り合った王子の顔が頭に浮かんだ。
「この国に戻られる途中に
誰かに銃で…あぁ恐ろしい…!!
何て酷い事をしてくれたんだろうね全くっ…
王子が可哀相だよ…」