━━━舞踏会から一週間後、その悪夢は突然舞い込んできた。


……宮殿のラウンジに、執事や使用人頭の姐御、その他のシェフやメイド達が集まっていた。



「……今…、何て言った…?」


静まり返るラウンジ内に、執事の弱々しい声が響く。



「悪い。
俺今日耳の調子がよくねーみたいでさ…、
もっかい、もっかい言ってくれよ…?」


いつもの声のトーンだが、唇は明らかに震えていた。


暫く無言だった姐御が、手に携えていた書簡を執事に手渡す。



「……隣の野の国から、伝令がきた。
その書簡に、国王が此処に戻られるまでの
いきさつが記されて…」



「分かんねーよ!!!!分かんねー…
俺馬鹿だから、分かんねーよっ…」


書簡を見れば自ずと真相が書いてあるのが分かるというのに、執事は敢えて問い質した。



「はっきり言ってくれよ…姐御…」


執事自身、とっくに書簡には目を通していた。

それでも、敢えて姐御の口から聞きたかったのだ。


……沈黙の後、姐御は重々しく口を開いた。



「━━━国王が、死んだ…。」