ギィィッ…と扉を開けた先は、夢のような場所が広がっていた。
━━━心地良いクラシックが流れ、大広間は木彫に金箔を施した見事なレリーフや絵画で装飾されていた。
「綺麗…」
華やかな衣装に身を包んだ街の人々は、互いに会話を楽しんでいる。
(うわ…何だか私やっぱり場違いかな…。)
自分だけドレスではない為、多少浮いていると感じてしまう。
しかし一方で、周りにいる街の者達の反応は意外なもので、
「まぁ…。可愛らしい娘さんね」
「何処の子なのかしら…」
意外にも周りからは好感されていた。
……大広間で流れていたクラシックが止んだ。
本来ならクラシックが止むと同時に、ステージの上に国王の後継者が一礼して演説が始まる。
「どうしたのかしら…?」
「おい、もう時間過ぎてるぞ…」
しかし今回に限って一向に王子の姿が見えない。
「まさか
いらっしゃらないなんて事はないわよね…」
「いや、でも…」
次第に大広間内にはザワザワとどよめきが広がる。