ふ…とした時、宮殿のラウンジから突然物凄い悲鳴が響いた。



「あぎゃーーーっ!?!?
王子がまた脱走したーっ!!!!」


けたたましい執事の悲鳴は街に届くのではないのかと思う程宮殿内に響き渡っていた。



「畜生油断しちまったっ!!
今日は王子の誕生日だから少しは
大人しくしてると思ったらあの野郎ー…」



……そこで、悲鳴を聞き付けたメイド達が駆け付けてきた。



「ど、どうなされました!?」



「また脱走したんだよ、王子がっ!!
宮殿の何処にもっ!!!!」


呻き声を上げながら激しく取り乱す執事。



「お、王子でしたら
衣装部屋から出てきたのを見ましたけど…」



「マジかよっ!?
だったらその場で取り押さえてくれよー
羽交い締めにでもしてっ」


既にパニック状態でメイド達に無理難題を言う執事。



「も、申し訳ありませんっ
あまりにも普通にされてましたので…」