「駄目、待って…!!!!」


引き金を引かせまいと、娘は声を荒げる。



「……何で…
何で、そんな簡単に人が殺せるの…?」



「……君には関係ない。
何なら、君から先に片付けてもいいんだよ」


そう言って銃の向きを娘に変える。



「やめろ!!その人には手を出すなっ…!!」


咄嗟に王子は叫ぶが、ロゼオは聞く耳を持たない。



「死ぬんだよ…?どんなに後悔しても…、
どんなに手を延ばしても、もう声も届かない
遠い空に逝ってしまう…」


ギュッ…ときつく拳を握り締め、娘は続ける。



「関係なくなんかない…
両親が死んだ悲しみなら、
私にだって分かるからっ…!!」


娘は強い口調でそう叫んだ。

その瞬間、王子はあの夜の事を思い出す。

あの夜娘は確かに言った。



『小さい頃、両親が死んじゃって…、
親戚の人に引き取られて
隣の野の国に引っ越したんだ…。』


きっと誰よりも親が死んだ悲しみと、王子の気持ちを理解していたのだから…。



「君、もしかして…」