「大事な人質なんだからさ…
……そうだな、
手始めに国王の暗殺理由を教えようか?」
王子の前で残酷な事を話そうとするロゼオに、娘はキッ…と睨んだ。
「貴方っ…!!!!」
ロゼオは全く笑顔を崩さない。
しかし王子は言った。
「結構だ…理由なら知っている」
まさかそこまで情報屋から聞き出しているとは思わなかったのだろう。
再びロゼオの顔が無表情に戻る。
「野の国の国王の命令だろう…。
父上は野の国に
長らく滞在していたらしいからな…
大方、その時に国の事で揉めたんだろう」
「……そうだ。
うちの国王様は完璧主義でね…
この国と合併して手に入れようとしたが、
君の父上は頑なに拒んだ…。
合併を許さない
君の父上を邪険に思った国王様は、
僕等暗殺部隊に命じたんだ。
国王を殺せ、と…」
何と身勝手な命令なんだと、娘は鳥肌すら立った。
「そんな理由でっ…」
そんな娘にロゼオは笑顔で言う。
「そうだよ。
そんな理由でも僕等は従うんだ。
国王様の命令は絶対だ…」
国王の命令は絶対、それはこの国でも同じだった。