その時、背後のすぐ近くで聞き覚えのない声がした。
「油断しちゃ駄目でしょうに…」
瞬間的に王子は立ち上がり、咄嗟に振り返ろうとするが…
ドォォォンッ!!!
銃声が一発、宮殿の外に鳴り響く。
「っ…」
油断はしていたが、弾丸が左肩を掠めただけで、何とか致命傷は避けられた。
「王子っ…!!」
たまたま近くにいた兵士が気づき、駆け寄ろうとするが王子はそれを断る。
「来るな…!!
大した事はない、ただの掠り傷だ…。
……姐御達を呼んで来い」
王子の命令に兵士は従い、急いで宮殿の中へと走り去った。
それを見送った後、王子は再び振り返る。
……そこには、写真に映っていた通りの人物━━━ロゼオ=ダ・カーポが立っていた。
「やぁ…。初めまして」
その後で、必死に自分を呼ぶ聞き慣れた声がする。
「王子っ…!!」
その瞬間、王子は息を呑んだ。
「…っ!!何故その人をっ…」
ロゼオの後ろには手首をロープで縛られている、あの娘がいたのだ。