一方王子はというと、内廷のラウンジで一休みしていた。
(……暇、だな…)
今日が自分の誕生日で舞踏会の準備がある為、誰もこのフロアにはいない。
(やはり
使用人達の仕事手伝うべきだったか…?
……いや、さっきみたいに
遠慮されるだろうな…俺が王子だから…。)
今日の主役である王子は何もする事がないので、仕方なくまたソファーに座りながら窓辺から街の様子を伺う。
(………。)
……そうする事、約10分経過。
次第に王子の眉間にしわが寄ってくる。
「………。駄目だな」
一瞬頭に執事の言葉が過ぎったが、諦めたように溜め息をつくと、一人笑みを浮かべた。
「悪く思うなよ…」
そう言って呟いた後、王子は窓に手を掛け、身を乗り出した。
━━━現在の時刻、午前11:00…。