「あったよー!ドッジボールしててさ。私、運動音痴だったからすぐ狙われて!当てられそうになった時に、助けてくれた男の子」


「へ?葵ねぇが運動音痴!?以外!運動できなかったの!?」

つい、驚いて大きな声が出た。


「…全くできなかった!」

困った顔を見せながら。


「…何気ない仕草とか。何気ない行動。何気ない言葉。色んなことにドキドキすんの」


わたしは、ただだだ、うんうんと頷いた。


「それが…。“恋”だった」


「…恋?」


「そう。ドキドキして。その男の子が好きだなーって、思うようになるの。それが“恋”」


「恋…。わかんない…。好きだけど…。わかんない」


「うん。少しずつわかって行くよ。心音も日夏も!旭は…、もうわかってるみたいだけどね」


「恋って楽しいのかな…」


「…どうかな?」



どこか一点を見つめる葵ねぇの横顔は…。


悲しげで、淋しそうだった。



それは耕にぃに会えないからだとわたしは思っていた。