温泉街を通り過ぎ、山道の一番上、1件のホテルの駐車場に車を泊めた。
「他に比べると大きくないけど。料理と温泉と景色は最高だよ」
わたしたちの鞄を抱え、早く着いて来な!と、促す。
ドキドキとうるさく、わたしの心臓が動き出す。
「チェックインしてくるから座ってな!」
葵ねぇの言葉に従い、ホテルのロビーのソファーに腰を下ろす。
お尻を上げ下げさせ。
「スゲ~!トランポリン見てぇ~だな!」
日夏がそう、喜んで遊んでいると。
葵ねぇが鍵をくるくる回しながら。
「行こうか!」
と、靴を鳴らし歩き出した。
わたしたちは慌てて葵ねぇを追いかけた。
葵ねぇは、エレベーターの8のボタンを押す。
行き着いた8階の廊下は、全面に赤い絨毯が張り巡らされていた。
日夏がドンッと、わざとに足で地面を蹴ると。
「あんたたちみたいなのが走り回ってもいいように敷いてあんの!ほら!こっち!」