西へと傾いた太陽の陽が反射して、ガラス張りのビルがビルを映し出す。


カラフルな歩道は、葵ねぇによるとこれを“インターロッキング”というらしい。

一歩ずつブロックに合わせて足を進める。



耕にぃは何でも知っている、物知りさんだけど。

葵ねぇも何でも色んなことを知っている。



わたしも大人になったら、葵ねぇみたいになりたい!


誰にも好かれて、誰もが憧れる人になりたい。



そう胸に刻み、札幌の街を後にした。



葵ねぇの車はホテルへと走り出す。

ビルや建物も疎らに散らばる道は、山道に差し掛かる。



「山見ると落ち着くねー?」


「うん落ち着くー!今日はドキドキしっぱなしだったもん。逸れたらどーしようとか。葵ねぇが誰かに連れてかれたらとか!」


「そ~か~?山なんか見飽きてんじゃんかよ!そもそも葵ねぇみたいな男女を連れてくヤツなんていね~しっ」


「あれれー?日夏は、晩ご飯いらないんだー?」


「い、いるよ!何だよ!!足元見やがって!」


「アハハッ!」