相変わらず、ビルが見下ろす間を。

一通り見て回ったわたしたちは、次なる場所を目指していた。


「次はー?」


「次はー。…ふふっ」


「葵ねぇ!怖え~よっ!」



“すすきの”と書いた看板下の階段を下り始めた。


ブォーッと強い風がぶつかって来て、セットされた頭から数本の行き場をなくした髪の毛が、遊び回る。


長い長い階段を下りた先、広い空間の片隅に並ぶ券売機。


ピッピッ。…カサッ


葵ねぇはわたしたちに切符を持たせると、だだっ広いフロアの真ん中の機械の前まで来て。


…カシャン。

切符を入れて通り抜けた。


「入れてから通るんだよ!」



「…よしっ!」

日夏はゴクリッと生唾を飲み込み、通過して行った。


わたしも、そんな2人の真似をする。

切符が狭い入口から吸い込まれ、直ぐさま反対側から出てきた切符を歩み取る。



「地下鉄乗って、目指すは札幌駅!」


また葵ねぇはわたしたちの手を掴み、階段を下りる。