お腹がいっぱいになったわたしたちは、また賑やかな街の中を、歩き出した。


狸小路とすすきのは、テレビで見るよりは派手じゃなかった。


「アハハッ。夜じゃないからね!」


「すすきのは夜危ないって耕にぃ言ってたぜっ!」


「昼だから危なくないね!」


「そんなこと言って。日夏なんて大人になったら毎日行くようになったりして」


「オレは耕にぃみたいな遊び人じゃね~やい!」


「どーだかねー!」

顔を見合わせ笑う、わたしと葵ねぇにムスッとしてる日夏。



想像以上の札幌の街に、人に景色に、緊張していたわたしは。

畑にいる時と変わらない笑い声に、安心感を覚え。

ギュッと葵ねぇの手を握り返す。