さっきの黒づくしの男の人がメニューとお水を運んできた。

「お決まりになりましたら、ボタンでお知らせ下さい」



緊張が駆け抜ける中。


「あ、葵ねぇ!…ものすごく。た、高いんじゃね~のか!」


「何?日夏ってば、柄にもないこと言ってんの?何がいい?あんた肉好きでしょ」


「…やっぱし…、出よ~ぜ!」


「何で入ったばっかで出なきゃなんないのよ!早く決めな!でないとお子様ランチにするよ!」


「…じゃあ…。わたし…、ハンバーグとグラタンセットにする…」


「オレは…。ハンバーグステーキセット…」


渋々と頼んだ料理が来るまでの間。


「さては…、日夏も心音もこういうお店も初めてだから緊張してんな~?」


「あ~っ!葵ねぇ!オレのお気に入りのセリフ~っ!さては…、パクったな~!!」


「日夏っ!恥ずかしいよ!」


「アハハッ!」

わたしの緊張感をよそに2人は笑い出す。