3時間後。
増え出す高い建物が窓の向こうに流れて行く。
わたしと日夏は、いつまでも続く、そんな景色をこれでもかと言わんばかりに目を見開く。
もうすぐなのかな…?
「ふふっ。もうすぐ札幌だよ」
葵ねぇは期待に応えるかのように、バックミラー越しにそう笑った。
それがわかるように。
徐々にわたしたちが乗った車は、たくさんの車に囲まれる。
「これが…渋滞ってやつか~!?」
「…人がたくさんいるー!」
世話しなく行き交う、人と車に。
誰が見ても圧倒しているわたしと日夏。
葵ねぇは、慣れた手つきで小さな駐車場に車を止めた。
車から降りたわたしは、天まで続くビルの山を見上げる。
キレイに陳列された建物たちは、空高くそびえ立ち、わたしたちを見下ろしているみたいだ。
「行くよー!」
『迷子にならないように』と、葵ねぇはわたしと日夏の腕を取り自分の手に重ねる。