葵ねぇは、自分の車のエンジンをかけ、わたしのカバンと日夏のリュックをトランクに入れた後、大きなボストンバックも詰め込んだ。
「ねー?変じゃない!?ねぇーっ!」
「だぁ~っ!うるせ~なっ!!何回も何回も、別に何でもいいじゃんかよっ」
目の前にいる、青いTシャツに普段はジャージだったりするのに、今日はジーンズを履き、黒いキャップを被る日夏に、しつこいくらいに付き纏う。
「…変じゃない?これ!田舎のガキ扱いされない!?」
「…し、知らね~よっ!耕にぃに聞けよっ!!」
「アハハッ!何照れてんだ日夏?心音?いつもよりかわいいなー!」
「照れてなんかいね~よっ!!」
「ほんとに?耕にぃ!ほんとにかわいい!?」
「うん。かわいーよ」
「わーい!良かったーっ!日夏も何かカッコイーよっ!」
「な、何なんだよっ」
わたしは日夏に抱き着くように飛びついた。