日夏ママが帰って来たこの日も、日夏はうちに泊まった。


『…疲れてるみたいだねー?明日は札幌だし、日夏はうちに来な!』

半ば強制に連れて来られた日夏なのに。

特に嫌そうな素振りを見せることなく、逆に…。いつもに増して、騒ぎまくっていた。



「あ~…。今日は眠れね~よっ!憧れの街札幌!待ってれよ!」


「わたしもー!ワクワクする!わたしが産まれた街!」


「…早く寝ないと、朝起きれなくなるぞ?」



「耕にぃは、オレの気持ちがわかんね~のかよっ!」


「アハハッ!興奮し過ぎると鼻血出るぞ?」

真っ暗でも、耕にぃが優しく微笑んでいるのがわかる。



「…2人共、良かったな?」


「うんっ!」



微かに開くふすまから、漏れる光の向こうで、葵ねぇは音楽に乗せ、いつものあの歌を口ずさんでいた。