日夏パパは新聞の奥から日夏に言った。
「…明日か?疲れて帰って来るんだから静かにして、ちゃんと言うこと聞けよ?」
「わかったよ…」
日夏はつまんなさそうに答える。
「葵ちゃんに迷惑かけてないか?」
「…オレがさっき迷惑かけられた…!」
お弁当のご飯を思い出しわたしは笑ってしまった。
「札幌、気をつけて行って来いよ?葵ちゃんの言うこと聞いて、ワガママ言うなよ?」
新聞から一度も日夏に目を合わせず、話す日夏パパ。
わたしは葵ねぇの言葉を思い出していた。
『忙しいと帰って来れないもんね?
』
…日夏は、寂しくないのかな?
お腹がいっぱいになったわたしたちを、日夏パパは家まで送り、またすぐ海に引き返した。
「しっかり手伝えよ!」
日夏パパの台詞は。
…残念ながら聞いていないようだった。