「…とうきび1本作んのも大変だけどよ~、昆布だって大変なんだぜい!」
6月くらいから、昆布を乾かす為の干場の手入れを始めるんだぜ。
その辺に生えた雑草1本1本抜いてよ~玉砂利を敷き均して、手入れすんの。
昆布も何でもいいって訳じゃね~し。
長さと太さが大事なんだ。
天日干しも、何でも乾かせばいいつ~もんでもないしよ。
石に着かないよに、こうして動かしながら、様子を見るんだ。
「その日の…天候、気温、湿度、風で乾かす時間も変わるんだ」
指を1本ずつ折ながら、わたしに説明していく。
乾燥し過ぎるとバラバラ、ボロボロ割れちゃうしよ~っ。
乾燥させた昆布は、ビニールシートに包んで昆布倉庫ってとこに保管すんの。
んでた~まに、露で湿らせてよ。また乾かすんだぜ。
「めんどくせ~よ昆布なんて」
一枚一枚綺麗に並べる日夏の手つきは、知らない男の子の手だった。