「…よ~し!たくさん採れたな!」

海から上がると日夏は、拾ったばかりの昆布を玉砂利の上に重ならないように並べ始める。


わたしがそんな作業の一貫を、ジーッと物珍しそうに眺めていると。


「ん?…そっか~。拾い昆布…心音は始めてだもんな~…」

わたしに気付きそう言うと、手を止めて困った顔をする。



毎年、昆布小屋でちょっとしたお手伝いをしたことがあるけど。

そう。拾い昆布は初めてのことだった。


「…ここに綺麗に並べて天日干しすんの。カラカラになってもダメなんだよな~」


「…こう?」

慣れない手つきで昆布を敷いて見た。


「そうそう!」


さっきまで文句ばかり並べていたくせに、拾い昆布についてひとつひとつ真剣に教えてくれた。



“そんなこともわかんね~のかよ心音はよ~”とか言ってまたバカにするのかと、身構えていたのに。

拍子抜けしたわたしの顔はバカ丸出しだったようだ。


「だから~!やめろってその顔~っ!」

と、日夏は大笑いしていた。