波で荒れた海の時化や昆布漁で、沖合に流れてきた昆布を拾う。
拾い昆布。
地味な作業っぽいけど、危ないんだって日夏パパが言う。
だから沖から離れるなよ!
と、釘を刺されていたから…。
「…日夏!危ないよー!!」
「大丈夫だって~!!父さんは漁船が危ないって言ってんの~!ここは船来ないからへっちゃらなの~!カナヅチだからな~心音はっ!」
と、バシャバシャ泳ぎ始めた。
ちっとも言うことを聞こうとしない日夏を見て、肩を落とす。
…もう、知らないっ!
さっきの…。
日夏の力強い表情は…勘違いだったんだねー…。
全く知らない男の子に見えたのに。
一瞬でも頼もしい!って思えたのに。
なのにっ…!
わたしに、“カナヅチ~っ!”とバカにして騒ぎ立てる、なんら変わらないいつもの日夏がそこにいた。
あれは…!夢だったんだ!!
と、心の中で強く言い聞かせたのは言うまでもない…。