いいなー!わたしも船に乗ってみたいなー…。
思わず目を細め、沖から遠く離れた日夏パパの漁船が、広大な海に飲まれて行った。
「眠い~…朝日が目に染みるよぉ…。いつでも乗れるじゃん船なんて…ふぁ~ぁっ…」
眠そうに、日夏は大きく口を開けあくびをする。
「だって、…乗ったことないもん。日夏パパが子供には無理!って乗せてくれないもん。日夏は何回も乗せてもらっていいなー。乗りたいなー…」
物欲しげにそれでいて、ふて腐れたかのよいに呟いた。
「羨ましいだろ~?」
と、普段みたいに得意げな態度を見せる。
「うん…羨ましいー!」
腕組みをし、何かを思いついたようにこう言った。
「…んじゃ~…。オレが大人になって船の操縦ができるようになったら…!心音を特別乗せちゃる!」
「…え?」
「約束だぜい!心音だけの特別待遇だからな!有り難く思えよな~!ふふんっ」
耳を赤くして、照れ隠しで鼻を鳴らした。
日夏の“ふふんっ”は照れ隠しなんだよね。