地味なカメラマンは微笑んだまま静かに目を閉じた。




「違うよ。病状が悪化したんでね、痛み止めをもらいに来たんだ。」




「入院はしないんですね」


「はは。冷静につっこむね。こりゃ観月が惚れるわ。」

地味なカメラマンは目を開いて笑った。



「あたしも、分かります。観月がカメラマンさんのこと心配してた理由。」




「母性本能くすぐる感じ?」



「観月は男です」



「そうだったね」





なんだか話をはぐらかされた感じで、すごくもやもやして消化不良に陥った。





「と言うか、観月入院してるの?」



目を丸くして、今ごろかよとつっこみたくなる質問をしてきた。




「です。」



あたしはめんどくさくなってそれだけで応答。




「平気なのかな」



「平気。元気だよ。」



「そう。それはよかった。」





そう言って地味なカメラマンは目を伏せると、ポケットからくしゃくしゃの紙を取り出す。



「これ、観月に渡しといて」





そして、ポケットに入れっぱなしで洗濯しちゃいましたと言うようなそれを差し出してきた。