しばらく部活に出ていなかったものの、帰宅部でまして女の佐伯に追い付けないほど体力は落ちていなかった。





「待てよっ」




腕を掴めるくらいまですぐに追いついて、佐伯を引き留めた。




「なんで逃げんだよっ」



二の腕を掴んで引っ張ると、佐伯は涙を浮かべて振り返る。




「二人してあたしを責めに来たんでしょっ 嘘つきな最低な女だってっ」




叫ぶ佐伯は握っていた開きっぱなしのケータイを顔面に投げつけてきた。



それを当たる寸前で避けると、頬を掠めてケータイは地面に落下する。

ジャラジャラと付いていたストラップたちが無駄に大きな音を立てた。





「咲之助っ あんたあたしのために学校辞めたんでしょっ なんで制服なんか着てんのよっ」




「離してっ」と立て続けに叫ぶ佐伯。
引き留めていた腕を引き寄せながらもう片方の腕もしっかり掴んだ。



両腕を固定すると、佐伯の暴走も少し落ち着いた。