夜眠れない日が続いて、いろいろがどうでもよくなっていた。

そんな時に佐伯がいきなり部屋に上がり込んで来て、だけど追い出す気力もなかったから、ただぼけっと話を聞いていた。



突然意識が薄れて床に倒れ込みそうになったところを佐伯に抱き抱えられ、そのぬくもりになんだか涙が出てきたんだ。





『あたしがいるから、もうそんなボロボロになんなくていいんだよ。あたしがいるから。』





久々に聞いた優しい言葉。
それが心に響かないはずがなく、佐伯の腕の中で目を瞑ると一筋の涙が頬を伝った。





それからだ。

佐伯に軽いキスをされてそれを繰り返されるうちに、自分のなかの何かが壊れる音がして。


気付けば佐伯を壁に押し付けて、自分から迫っていた。




辺りはたぶん薄暗くなり始めていて。

息苦しさとまとわりつくような蒸し暑さだけが思い出される。




いつ意識が途切れたのか分からないが、翌日の朝は乱れた制服姿のままベッドに倒れていた。

動揺にベッドもぐちゃぐちゃで、掛布団は床に落ち、シーツはしわくちゃ。




久しぶりに眠れて、頭はすぐには覚醒せず、しばらくたってからはっと思い出す。



そして部屋を見渡してみるが、佐伯の姿はなかった。