その夜。
みんなが寝静まってから、密かに布団を抜け出した。


カバンからノートとシャーペンを取り出して、月明かりか外灯かの明かりがわずかに差し込む窓辺に移動する。



今日あったことは今日のうちに書き記しておかないと、"もし明日記憶が吹き飛んでいたら"を考えると眠れなかった。






"いつもみたいにサクが起こしに来てくれるのを待ってた。
そしたらサクは制服じゃなくて私服だった。

着替えてたらボタンに髪の毛が引っ掛かって、サクが…"




そこから先がなんとも書きあらわせなかった。

書こうとシャーペンの芯をノートに押し付けてみるけど、ただ黒い点が出来るだけ。


だんだんもどかしくなってきて。
あの時を振り返ろうと、寝ている咲之助に近寄った。




なかなか寝相が悪いようで咲之助はすでに布団からはみ出てて。
仰向けで大の字と言う格好で寝息を立てていた。




時々指がぴくっと動いたりして、あたしはその度にどっきりする。