海へと繰り出す二人の後ろ姿を見ていると、ふいに観月が口を開く。
「咲之助くんのさあ、肩にある痣って、なんなの?」
「あー、あれは火傷の跡だよ」
半袖を捲りあげて肩を出してる咲之助を見やる。
離れててここからではよく見えないが、右肩には未だに痣みたいなのが残っているのだ。
それは背中から肩にかけての酷い火傷で。
小さい頃にあたしを庇ったて熱湯をかぶってしまったのが原因。
「火傷、か。 あたしの好きな人にもそんなような傷跡があるんだよ」
「あ。地味なカメラマン」
高1の冬に少しだけ聞いた話しを思い出した。
「うん、相変わらず地味なんだよ。」
そう言って観月は笑った。
「地味なとこが好きなの?」
的はずれな質問をした気がしたけど、観月は"うん"て答えてくれた。
「昔はね、その人のことで大人になりたくないなって思ってたの」
「なんで?」
「バレたくないことがバレちゃうから。」
「バレたくないこと…」
「それはもう少し経ったら教えるね」って、観月はさらりと交わした。
「分かった」って言うと、「ありがとう」って観月。