「蕾は、何で海行かないの? 女の子の日ではなさそうだけど。」
頬杖をついて、観月は穏やかな声で問う。
ラムネのビー玉を落とそうと真剣になっているあたしを、楽しそうに見つめてる目も優しかった。
「ちょっとケンカした」
全体的にやんわりとした観月の雰囲気に誘導されるように自然と喋っていた。
「それは、もちろん咲之助くんとだよね。」
疑問符を付けるでもなく、観月は言う。
「うん。ケンカって言うケンカじゃないけど。」
「ケンカじゃないんだ?」
なかなかビー玉が落とせないあたしを見かねて、観月が手を伸ばしてくる。
「…あたしが悪いんだと思う」
観月の手にぐっと力が入って、カラン、とビー玉が瓶の引っ掛かりに落ちた。
あたしはどけた手を膝に乗っけて、正座した格好でそれを見てる。
「自分が悪いって分かってるなら謝ればいいんじゃない?」
最もな意見。
だけどそれじゃ、あそこまでひどいこと言った意味がない。
「…それはできない」
観月に反抗することはあんまりしたくないんだけど。
正直な気持ちを話した。