『なんで休んだんだっ』



なかなか答えない咲之助にいっそう大きな声を浴びせるおじさん。




あたしはいてもたってもいられなくなり、ついに立ち上がってベランダの手すりに掴みかかった。




あたしのこと話せば、本当のことを話せば許してもらえる。って伝えたくて、窓越しの咲之助に視線を送った。




すると、咲之助がちらっとこちらを見て、ばっちり目があった。



これで咲之助助かるかもとほっとした瞬間。
咲之助は再びおじさんの方に向き直り、




『俺…落ちてたカードゲーム拾ってて休んだんだよ』


って、そう答えた。

そして間を挟まずパシンって乾いた音がした。
おじさんが咲之助の頬を叩いたのだ。





『物事には優先順位って言うものがあるんだっ その時のお前にはサッカーよりそっちのほうが大事だったのかっ』



と、床に倒れはしなかったものの、叩かれた拍子によたった咲之助におじさんはそう言った。




そしたら咲之助は『…うん』て小さく言って。
おじさんが呆れたように部屋から出て行くまでうつ向いたままだった。