なんだなんだ。そうか。
忘れてたならよかった。
いつまでも拗ねてんのかと勘違いして心配してたけど、それならよかった。
なんだか一人で空回りしていた自分がほんとにカッコ悪い。
勝手にボロボロんなって、傷つけた蕾のためになんて走って、ちょっとそんなこと気取っていた気がする。
『シンデレラごっこ』とか、これまた勝手に名前つけちゃってるとこ、痛いよなー。
蕾は何も言わないし、会話は途切れたまま。
もううつ向くしかなかった。
いろんなことひとりよがりに考えて、どうしようもなくて起こして蕾に当たって。最悪だ。
今日のしくじりに比べたら、肩の怪我なんて大したことない。
ボロボロになったのは制服だけじゃなくて、心にもいくらか傷がついた。
こんな俺をどんなふうな目で見ている?
バカだなって、いつも通りの平坦な声で言われるんだと、そう思い、雨に打たれ続けた。
すると、突然何かに遮られたように不自然に雨が止んだ。