食事を終えて酒場を出た俺達は、また人混みを掻き分けながら鑑定士の店へと向かう。

…鑑定士の店には、大抵は遺跡の位置を記された地図が貼り出されている。

その土地に初めて訪れたトレジャーハンターは、それを参考に古代遺産を探すのだ。

中には高価買取をしてくれる古代遺産のリストまで書いてある親切な店もある。

「ええと、この街からだと…この遺跡が一番近いわね」

ティアが地図を指でなぞりながら言う。

かつて『ロサンゼルス』と呼ばれた都市のあった場所。

世界でも最大級の規模を誇る遺跡であり、まだ多くの古代遺産が眠るとされている。

「ここならEウイルスだって見つかるかもしれない」

ティアの目は輝いていた。

それはそうと。

「なぁ」

俺は店の主人に声をかける。

「これ、買い取ってくれないかな」

俺が店のカウンターに置いたのは、12年間も使い続けてきた指南書だった。

「ちょ、コウ!いいの?」

ティアが目を丸くするが。

「うん、構わない」

俺は頷く。

「この指南書の技は全て習得した…それに今は新しい『教科書』もあるしな」