軽い足取りで後退し、俺は男の斧を回避した。

「…満更馬鹿でもないか」

ニヤリと笑う男。

「幾らゴリラ属の血を引いてるといっても、混血種と純粋なゴリラ属ではパワーが違う。加えて成人と子供の力の差もある。お前の力じゃ…」

男はまたも斧を振りかぶった。

「俺の斧は受け止められんぜ!」

渾身の力を込めて、大振りに斧を振る男!

確かにこんな一撃を受け止められるほどの力は、俺にはない。

あまりに強烈な力感に、相手の間合いに入る事すらできない。

まるで暴風のように吹き荒れる斧の斬撃に、俺は回避一辺倒。

反撃する事すらできなかった。