とはいえ、船旅は三日間続く。

その間ずっと船室にこもっていられる訳もなく、俺は船の甲板に出ていた。

…落下防止用の手摺りにもたれかかり、目にするのは秘伝書。

もとい、ティア曰く『紛い物の秘伝書』。

俺は古代文字でも『漢字』なら読めるので、それを黙々と読んでいた。

秘伝書の内容は、なかなかもっともらしい事が書かれている。

俺が持っている指南書よりも、よっぽど高度な体術技術について解説してある…ように見えたのだけど、一流のトレジャーハンターであるティアが紛い物だというのだから、間違いないのだろう。

考えてみればそうだ。

1000万を超える古代遺産を、誰が5万で売ってくれるものか。

出世払いだといっても、そんなお人好しがいる筈もない。

この時代は誰もが古代遺産を狙い、時には命のやり取りもあるのだ。

そんな貴重な品を、安く譲ってくれる奴なんている筈もない。

「やっぱり偽物かなあ…」

水平線に視線を移し、俺は大きく溜息をついた。