ティアが船室のベッドに荷物を置いて一息つく頃。

「!」

船体がゆっくりと動くのが体に伝わってきた。

「出航ね」

小さな丸い窓から、ティアが外を覗き込む。

穏やかな海の風景…それがゆっくりと流れていくのが分かる。

船は港から静かに離れていた。

いよいよ住み慣れた土地を離れ、北米大陸へ。

北米大陸は古代遺産が今なお数多く発掘される土地だ。

それを求めて数多くのトレジャーハンターが足を踏み入れる。

一攫千金、ゴールドラッシュを夢見る者達の聖地。

それだけにお宝を巡っての策謀や争いも絶えないと聞く。

「気を引き締めてよね」

ティアの言葉がやけに頭に残っていた。