タラップを渡り、俺達は船に乗り込む。

潮風が甲板を駆け抜け、ウミネコ達の鳴き声がのどかな雰囲気を醸し出す。

「私達の船室は…二等客室ね、こっちよ」

ティアに案内されながら、俺は船内を歩く。

…船内には、俺達の他にも客が居た。

大きな荷物を担いだ商人らしきエイプやも何人か見かけるが、大抵は刀剣や槍、弓といった武具を携えた武芸者の類。

俺達と同じ用心棒やトレジャーハンターなのか、或いは帝都に常駐する軍隊の関係者か。

「帝都軍って事は有り得ないわね。任務中なら帝都軍の軍人は軍服を着ているわ」

ティアが船室の扉を開けながら言った。

「ここが私達の船室よ。二人一部屋だから…変な事したら追い出して甲板で寝泊まりさせるからねっ」