「兄さん、今いくら持ってる?」

「え…5万ほど…」

恥ずかしげに答える俺に。

「いいぜ。それ5万で売ってやる」

主人はニヤリと笑った。

「え!?」

そりゃあ驚くしかない。

だって値札には1070万と書かれている品だ。

それをたったの5万で…。

「いいか兄さん」

主人は言う。

「俺ぁ金儲けしたくてこの商いをしてる訳じゃない…あんたみたいな有望な若者に、少しでも世界を見てもらいたくて、その手助けになる品物を提供したくてこの店開いてんだ…足りない金は出世払いでいいさ。世界を駆け回って、一流の冒険者になって…そん時もし俺の売ったその秘伝書が役に立ったその時は、不足分を払いに来てくんな」

「……!」

その主人の心意気に、俺は心底感動して。