「最後になりましたが」

皇帝は俺達二人の前に自ら歩み出た。

「コウ・タオレン、ティア・ハートロック…数々の危難を乗り越え、よくぞ生きて僕の前に来てくださいました。貴方達二人と会えた事を、僕は本当に光栄に思います」

彼はまず俺の前に手を差し出す。

「…こちらこそ…最大級の名誉に思います」

俺はその小さな皇帝と固い握手を交わした。

続いて同じ手が、ティアにも差し出される。

「貴女は世界一勇敢で聡明な女性です。貴女のようなエイプがいる事を、誇りに思います」

「…勿体無いお言葉です、皇帝陛下」

ティアもまた、固い握手を交わす。

…真紅のマントを翻し、皇帝は俺達に背を向けた。

「短い時間で申し訳ありませんでした。それでは僕はここで失礼致します…コウにティア…どうか今後の冒険に、幸多からん事を」