「成程…!」

光明を見い出したかのように、皇帝が強く頷く。

彼もまた、ティアの言わんとしている事に気づいたようだった。

やはり只の子供ではない。

その理解力の高さも皇帝の器だ。

「Eワクチンが現存するかどうかは分かりませんが…Eウイルスがいまだ残っていたのならば、Eワクチンも或いは…」

「わかりました」

皇帝はすぐに側近の者を呼び寄せる。

「帝都軍全軍に指示を。手の空いている兵士には、Eワクチンの探索に当たらせてください。発見できたならば、至急報告を」

側近は頷き、足早に謁見の間を出て行く。

「有り難うございました、コウにティア。お陰で有効なローチ対策が見つかりました」

玉座を飛び降りるように皇帝は立ち上がった。