しばしの沈黙の後。

「それでは僭越ながら…」

ティアは言葉を発した。

「まず、私達が南米大陸に上陸した際に帝都軍が使用した殺虫剤『ネオニコチノイド』、あれは効果的だと思います。事実南米大陸に生息していたローチの半数は、あの薬品によって死滅しています。できれば上空からの散布だけでなく、歩兵にも薬品散布の為の装備を持たせるのが効果的ではないかと。直接ローチや巣穴に散布すれば、更なる効果が期待できると思います」

彼女の説明に、皇帝は納得したように頷く。

「確かティア・ハートロック…でしたね。ならばそのネオニコチノイドが、Eウイルスによって進化したローチにも通じると思いますか?」

「……」

ティアはまたしても沈黙の後。

「恐らくは…ダメージ程度は与えられるかもしれませんが、効果的とは言い難いと思います」

はっきりと言い切った。