「さて…」

ドッシリと玉座に腰を据え、皇帝は表情を引き締める。

「リハード少佐から大体の話は聞いています。ローチがあのEウイルスを所持し、尚且つ実際に使用して進化して見せた…更には現存する残る一つのEウイルスを奪って逃走したという…」

憂いと、危機感を帯び。

「由々しき事態です」

皇帝は小さく息を吐いた。

「皇帝などと祭り上げられてはいますが、僕は子供に過ぎません。実戦経験も、指揮能力も優れた判断力も持ち合わせていない…ここは一つ、実際にローチとの戦闘を経験し、現場に居合わせた貴方達トレジャーハンターの意見を聞かせてもらいたいのです…何か解決策、その妙案はありますか?」

…その問いかけに、俺はティアの横顔をチラリと見た。

正直、俺とティアのコンビで、最終的な判断を下すのは彼女の方だ。

豊富な経験に基づき、的確な判断で冒険の舵取りを進めるティア。

俺は彼女の判断力に全幅の信頼を置いていた。