それから三日が経過し、やっと俺達は皇帝との謁見を許された。

皇帝府の謁見の間へと通され、そこで皇帝の到着を待つ。

…昔々、中世の人間の世界では、こういう光景があったという。

一般市民がその国の王と謁見する時は、こんな赤絨毯に跪いて、玉座の王にへりくだっていたのだとか…。

まさかそんな体験を自分がする事になるとは思わなかったけど。

そんな事を考えていると。

「いらっしゃったわ」

俺の隣で同じように跪いていたティアの声。

反射的に頭を垂れる。

…床を引き摺るような衣擦れの音。

あくまで軽い足音。

だけど、上に立つ者特有のオーラだろうか。

顔を上げる事ができない。

皇帝陛下とはどんな人物だろうと、一刻も早く見たい気持ちに駆られるのだけど、それをさせない威圧感にも似た気配が、俺の動きを封じていた。

やがて皇帝が玉座に座り。

「顔を上げて下さい」

努めて柔和な声で言う。

その声のトーンの高さに驚くと同時に、俺は顔を上げる。