気球を降りた俺達は、そこから帝都軍の自動車に乗って皇帝の住まい…『皇帝府』へと向かう。

気球から見た、橋を渡った先にあるあの大きく堅牢な建物だ。

「…すげーな」

俺は車窓から見える風景に釘付けだった。

行き交うエイプの数も半端なものではない。

数百人、数千人、いやそれ以上か。

現在のエイプ総人口が、およそ20億と言われている。

その殆どがこの帝都にいるのではと思えるほどの人の多さだ。

そんな人混みのメインストリートを直進し、自動車は皇帝府へと通じる橋へと差し掛かる。

…車窓越しに見える、谷底。

一体何十メートルあるのだろう。

これが核ミサイルの破壊によるものだと思うと、その威力に舌を巻く。

人間というのは、自らの手で自らを滅ぼす兵器をも作り上げたのか。

しかしそんな兵器を持つ人類さえ、ローチには滅亡させられた。

…現在ローチは、どのくらいの数が存在するのか。

エイプ総人口の20億を上回らない数だと期待したい…。