事態の重要性は、勿論リハード少佐も十分に認識していた。

「コウ、ティア。少々事情が変わった…君達にはこのまま、帝都へと出頭してもらいたい。その事実を、直接皇帝に話してもらいたい」

皇帝。

三千年前の人類絶滅以降、進化していったエイプ。

その始祖の血を引く者。

恐らくは核の影響を受けない土地に、偶然居合わせたエイプの子孫なのだろう。

彼ら皇帝の一族がいたからこそ、俺達エイプはここまで繁栄する事ができた。

「ローチがここまで危険な種族だという事を、身を以って経験した君達が、直接皇帝陛下に伝えてくれ。皇帝がその後、対策をお考えになり、我々帝都軍に指示を下さる筈だ」

リハード少佐の言葉に、俺とティアは頷く。

これは世界の危機、エイプという種族の存亡にかかわる問題なのだ。

俺達にも協力する義務があった。

…とはいえ、ここから帝都までは、気球を使っても二週間はかかる。

「それまではゆっくりと休むといい。途中街にも何度か立ち寄るから、必要な物は遠慮なく言ってくれ」