恐らく帝都軍は…いや、帝都軍のみならず全てのエイプが、ローチという種族を軽視していたに違いない。

進化したとはいえ、所詮はゴキブリ。

エイプからしてみれば、取るに足りない連中に違いないと。

しかし現実は違った。

ローチはその爆発的な繁殖力と凶暴性で、人類をも絶滅に追いやった種族だった。

人類との戦いで一度は大きくその数を激減させたものの、再びこの地上に姿を現したという事は、相当数が繁殖していると考えていい。

そしてそれよりも重大なのは、ローチにはまだ進化の余地が残されているという事。

そんなローチがEウイルスを奪って逃げたという事だ。

南米大陸で交戦したクイーンは、そもそもが戦闘向けの個体ではない。

クイーンとは、繁殖の為だけに存在するローチ。

それでもEウイルスによって、あれだけの高い戦闘能力を持つに至った。

もしスカーフェイスのようなソルジャーローチがEウイルスによって進化したら、どれ程の危険な存在になるのか…。