ズブリ。

クイーンの腹部からそんな音と共に、切っ先が突き出してきた。

「な…?」

口からこぼれ出る疑問符、そして大量の体液。

クイーンは痙攣しながら、ゆっくりと振り向いた。

…そこにいたのは、ローチ。

菊一文字則宗でクイーンを背後から貫いた、スカーフェイスだった。

エンパイアステートビルで、俺が唯一倒し損ねて逃亡を許してしまった手強いローチ。

一体今まで、洞窟のどこに潜んでいたのか。

彼は意外にも、仲間であるクイーンを闇討ちした。

そして彼女の手からEウイルスの入ったケースを奪う。

「そなた…Eウイルスを狙って…?」

「……」

スカーフェイスは何も言わず。

「ぎゃがっ!」

クイーンの体をそのまま寸断した。

鋭い切れ味によって上半身を両断され、クイーンの巨体が地響きを立てて崩れ落ちる。

そしてスカーフェイスは。

「……」

俺達を一瞥するだけで、そのまま洞窟の奥へと消えてしまった。