密着した拳から打ち出された打撃は、クイーンの柔らかい腹部に大きなダメージを与えた。

進化した肉体といえど、やはり昆虫、基本的な身体構造は変わらない。

弱点の腹部を打ち抜かれ、のた打ち回るクイーン。

口腔部から体液を吐き散らし、苦痛に喚き散らす。

それでも。

「この…猿どもがぁ…っ!」

口からだらしなく体液を垂らしつつ、クイーンはまたも鎌首をもたげた。

元々が生命力の高いローチだ。

この巨体になれば、それに比例した生命力を持っている。

寸勁一撃程度では、息の根を止める事など出来ない。

「グルカナイフ投げたから丸腰だわ…」

頬に汗を伝わせるティア。

「いい…後は俺に任せろ」

腰を低く落とし、俺は構えを取った。

手負いのクイーンと全身打撲の俺。

条件は同じだ。

今なら勝機はある…!

お互いに睨み合う…その時だった。