ならば…。

俺はクイーンの攻撃を回避しながら、ティアに目配せする。

ティアもまた、その事には気づいているようだった。

すかさずグルカナイフを振り上げ、クイーンの胴…トグロを巻いている部分に投擲!

回転しながら飛翔したグルカナイフは、太い大木の如きクイーンの胴体に突き刺さる!

「いっ…ぎゃあぁああぁあぁぁっ!」

俺の攻撃に夢中になっていたクイーンが、その激痛で悲鳴を上げる。

「おぉぉお、おのれ娘!わらわの体に傷を!傷をぉっ!」

癇癪を起こし、ティアの方に向き直るクイーン。

…どうやらコイツは直情的で、一つの事にしか気が回らない性格のようだ。

ティアに気をとられればもう一人…俺への注意が疎かになる事がわかっていない。

「進化しても、戦闘知識に関しては三流だな」

俺はクイーンの胴体に拳を添える。

「む!?」

振り向くクイーン。

「もう遅い!」

足元の岩場が砕けるほど、強く地面を踏み締める!

その力…『勁』を拳へと伝える!

寸勁!