意識も薄れてきた。

何とかしないと…俺は苦し紛れにアリゲーターの腹に蹴りを見舞う。

しかし鱗に覆われた体表は恐ろしく硬い。

その上、水中では思うように力も出なかった。

…そろそろスタミナが切れてきた。

少しずつアリゲーターの顎が閉じてくる。

歯を食いしばり、耐えながら考える。

体表が鱗に覆われているなら…鱗のない場所を!

俺は咄嗟に、アリゲーターの目を爪先で蹴り上げる!

流石にワニとて眼球までは鱗に守られていない。

直接眼球を傷つけられ、アリゲーターは苦痛に暴れる!

チャンスだった。

俺は閉じようとしていた顎から離れる。

…ワニの武器はその強い顎と、長い尻尾だ。

その武器の届かない場所へ。

俺は水中を泳ぎ、アリゲーターの背中にしがみつく!