体の上に乗られたまま、俺は両手でスミロドンの牙を掴んだ。

何とか押し退けようと力を込めるものの、その筋力と重さでびくともしない。

…涎を垂れ流しながら、生臭い息を吐きかけながら、スミロドンの牙が迫る。

食われる!

こんなデカイ牙で、喉元にでも食いつかれたらひと咬みで終わりだ。

筋肉に覆われたスミロドンの肉体には、俺の拳なんてとても通じそうにない。

だったら…。

俺はふと、故郷の村で村人から聞いたある話を思い出していた。

一か八か、それに賭けてみる。

目の前で大きく広げられたスミロドンの顎。

俺はその口腔内に、自ら勢いよく拳を突き入れた!