黒い斑点模様を持つネコ科の肉食獣が、ジャングルの中からノソリと姿を現した。

特筆すべきはその口元に伸びた巨大な一対の牙。

上顎から伸びたそれは、30センチ近くはあるだろうか。

体長は約2メートル。

その体皮の模様からして、南米大陸に生息する肉食獣のジャガーの一種には違いないと思うが、如何せん俺の知っているジャガーにしては、あまりにも牙が大きすぎた。

…その肉食獣の名は、正確には『スミロドン』といった。

本来なら約250万年から10万年前の南北アメリカ大陸に生息していたサーベルタイガーの一種。

とうに絶滅した種だが、人類絶滅以降のEウイルスの影響によって、ジャガーが攻撃的な進化をした結果として、スミロドンに退化するという現象が起きたのだ。